クラレンス・ウィリアムズ3世逝去
映画「Purple Rain」でキッドのお父さん役を演じたクラレンス・ウィリアムズ3世が結腸癌のため81歳で亡くなられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。情報源
「Purple Rain」は、出演者のほとんどが演技の素人であるミュージシャンでした。演技指導を受けたとはいえ、やはりネックになるところ。そんな中、映画をビシッと締めてくれたのが、数少ない「本業」の俳優さんたち。クラレンス・ウィリアムズ3世はその中の一人。彼を偲んで「Purple Rain」のパパ・シーンを振り返ってみます。
以下ネタバレ含みます。まだ映画を観たことがない人は注意。
お前は黙ってろ!バチコーン!
ドーン!
まずはやっぱりこちら。ママに暴力を振るうダメンズのパパを止めに入ったキッドですが、返り討ちに。パパにどつかれて壁まで吹っ飛びます。
暴力を振るったかと思えば、人目も気にせずイチャつく両親。
アポロニアを家に連れ込んだ際には「ひどいだろ?」とのたまうキッドでしたが、この後キッドもアポロニアに同じことを(以下略)
今度はキッドがパパに一矢報います。自分の部屋で音楽を聴いていたら、喧嘩した両親がなだれこんできたので、体当たりをしてパパを撃退。我が子にやられたパパはしばらく茫然自失。
そんなパパですが、立ち去り際に唐突にママに一言、"I would die for you."
後日、路上で泣きむせぶママを見つけたキッドは怒り心頭。「どこだこのクソ野郎!」と怒鳴り散らしながら家に駆けこみます。
しかしそこで忘れがたい旋律(Father's song)が聴こえてきます。ピアノを弾いているのはパパ。 もう音楽を止めたと思っていたキッドは、さっきの怒りもどこへやら。音楽について興味津々。
おもむろにパパから質問が。
「恋人はいるのか?」
「あぁ」とキッドが答えたところ、目に涙を浮かべたパパから一言。
「結婚は止めとけ」
このあとキッドは荒んでいき、仕事もプライベートも下降まっしぐら。
そして事態は最悪の流れに。何度も妻を傷付けてしまう自分に絶望したパパは、拳銃を手にして自殺を図ります。
即死は免れますが、かなり危険な状態に。泣き叫ぶママ。
自暴自棄になったキッドが部屋をめちゃくちゃにしている最中に見つけたのが、パパが作曲した曲の楽譜でした。キッドは冷静さを取り戻し、自分に唯一残された音楽に真剣に向かい合おうとします。
もうこれが最後の演奏。そう覚悟したキッドは、「君を悲しませるつもりはなかった」という言葉で始まる「Purple Rain」を演奏します。紫の雨による禊は聴衆の心を浄化し、キッドは赦されます。
映画のラスト、「I Would Die 4 U」の演奏シーンの合間に挿入されるこの場面。一命を取り留めたパパと、付き添いで疲れて眠ったママ。キッドは二人にそっと口づけをするのでした。
2021/6/8