レビュー:書籍(和書2)
プリンス逝去後、日本独自の企画本や英語の邦訳版が続々と発刊されました。読むのが追いつかないという嬉しい悲鳴は以前では考えられないことでした。
プリンス写真集 A PRIVATE VIEW
2017年に発行された「A Private View」の邦訳版です。オリジナル版は印刷品質が悪いことが玉に瑕だったのですが、国産は品質はバッチリ。これから買われるのであればこちらがオススメです。個人的に表紙の変更はちょっと腑に落ちませんが、中身は素晴らしいの一言に尽きます(表紙も見慣れればOKになりました)。プリンスに信頼されていたアフシンならではの視点とプリンスの意外な一面に感動すること請け合いです。控えめに言って最高。1,500部の完全限定生産とのことですので、迷ってる方はまずゲットしましょう。
2019年発行 DU BOOKS ISBN-10: 4866470984
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プリンス・ファミリー大全
皆さんご存じNPG Prince SiteのKIDさんと、CROSSBEATの荒野さんが手を組んで作られた、プリンス・ファミリーの作品を紹介したムック本です。関連アーティストの解説は勿論のこと、最近の新作ラッシュや1999スーデラの解説、そしてボビー・Zやキャット・ダイソンによる最新インタビューなど盛り沢山。曲単位、アルバム単位で整理された内容はまさにサイトの内容を凝縮したかのよう。関連ものにあまり興味が無い私でも、これを読んでいると物欲がムラムラと出てきます。
2019年発行 シンコーミュージック ISBN-10:4401648862
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ひと味違うPrinceの楽しみ方
日本屈指のプリンス・コレクターとして知られるひろあつさんの自費出版本です。2018年7月に名古屋で開催されたMP研究会基調講演の文字起こし+加筆で構成されています。関連アーティストを考察することでプリンスの本質を垣間見ようとする観点が非常に興味深いです。80ページほどで、さくっと読めます。読むと音源を聴きたくなり、コレクター沼に足を踏み入れるかも…?
2020年発行
専用ストア
The Beautiful Ones プリンス回顧録
同名本の邦訳版です。翻訳は安定の押野素子さん。英語も少しだけ読もうとチャレンジしたのですが序盤で頓挫というか邦訳の発表が出たので待ってました。いやぁ、これはまずい本です。はっきり言ってこれまで販売されたプリンス本の極致です。プリンス本の新たなバイブルと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。プリンスのことを愛しているなら絶対買った方が良いと思います、本当に。3,000部限定とか意味が分かりません。原版はハードカバーなので保管用と、中身を理解したあとに読む用にして、こちらをひたすら読み込みましょう。
2020年発行 DU BOOKS ISBN-10 : 486647114X
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サイン・オブ・ザ・タイムズのすべて
長谷川友さんが満を持して執筆された、マニアックなプリンス本です。もうとにかく「濃い」、その一言に尽きます。情報量が豊富なのでサクッと読めるものではありません。プリンスのデータベース本「The Vault」を読む層が想定読者と推測します。ある程度の予備知識は必要です。ブートとして知られていたとか、いつのバージョンなのかとか、楽曲の情報はもちろんのこと、当時の人間関係も掘り下げられています。個人的にはスーデラに載っていなかった歌詞の訳も美味しいところ。
2020年発行 シンコーミュージック ISBN-13 : 978-4401649655
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プリンス:ゴールド・エクスペリエンスの時代
「サイン・オブ・ザ・タイムズのすべて」に引き続き発刊された長谷川友さんのプリンス本(大河小説)第2段。主に英語ソースの膨大な情報に精通した長谷川さんならではの、豊富な知見の数々。カルメン・エレクトラやNPG、グラム・スラム・ユリシーズなどのサイド・ワークもきっちり押さえておりその深さは相変わらずのクオリティ。初心者が読むと何のことか分からないと思いますが、マニアにはこれ以上無いバイブルでしょう。長谷川節とも言える、突然クスッと笑わせにくるところも最高。引用する必要は無かったと思われる当サイトについても少し触れていただき、その広い心に感謝しております。
2022年発行 シンコーミュージック ISBN-13 : 978-4401652174
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プリンス オフィシャルディスク・コンプリートガイド
「プリンス・ファミリー大全」に引き続き発刊されたKIDさんのプリンス本。プリンスの公式音源を完全網羅したガイドブックです。コンピ版や逝去後にリリースされた作品を含むので、実に全99タイトル!均した温度感や客観性を重視した書き味に、「すべての層にプリンスを正しく伝える」という使命感を感じます。マニアックになり過ぎないように抑制されつつ、随所に貴重な情報を入れてくるバランス感もさすが。本書発刊のきっかけとなったKダブシャイン氏との対談も読み応えあります。kindle版は音源へのリンクがあって便利。巻末の参考文献に当サイトを加えていただき、大変光栄です。
2022年発行 星海社 ISBN-13 : 978-4065284032
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プリンス FOREVER IN MY LIFE
2020年発刊の「This Thing Called Life: Prince's Odyssey, On and Off the Record」の邦訳本です。著者のニール・カーレンは、プリンスが殆どインタビューを受け付けなかった80年代に唯一詳細なインタビューを許可された記者。ミネアポリス同郷出身の彼ならではの視点が人間としてのプリンスをリアルに、他には無い視点で描いており、なぜプリンスが彼を信用したのか分かります。これを読むと、貴方の常識が覆るかもしれません。プリンスを神格化しておらず、時々辛辣なので気分を害する人がいるかもですが、その姿勢は友人について語るそれ。私はとても公平な筆致と感じました。
2022年発行 東洋館出版社 ISBN-13 : 978-4491048482
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ザ・モスト・ビューティフル プリンスと過ごした日々
2017年発刊の「The Most Beautiful: My Life with Prince 」の邦訳本です。個人的に待望していたので、発刊にとても感謝しています。この本を敬遠される方はプリンスのことが悪く書かれていることを恐れているのではないかと推察しますが、少なくとも金目当てのセンセーショナルなものではなく、真実を感じることができる愛のある内容と感じました。上記の「FOREVER IN MY LIFE」同様、リアルな描写があるので人間としてのプリンスにキュンときたり「あーあ」と思うことがありますが、私はプリンスを聖人君子とは思っていないし才能以外に多くは求めていないので、これを読んで彼への愛が減ることはありませんでした。ただ、マイテへの愛はとても深まりました。
2022年発行 シンコーミュージック・エンタテイメント ISBN-13 :978-4401650279
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プリンス もう一つの小宇宙~提供曲から分析する知られざる姿~
自主出版「ひと味違うプリンスの楽しみ方」を大幅に加筆した、ひろあつさんによる著書。プリンス本人ではなく、提供曲にスポットを当てるというコンセプトは踏襲していますが、別物と言っていいほどのボリューム増です。私は正直ファミリー関連に興味が薄いのですが、そんな私ですら本書を読むと音源を聴いてみたくなります。読みやすく、面白い文体なので一気に読めること請け合い。巻頭の豪華なレア物を含む著者のコレクション写真も圧巻です。私はどれがレアかも分からないレベルですが、見る人が見れば。
2023年発行 シンコーミュージック・エンタテイメント ISBN-13 :978-4401650279
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プリンス インタヴューズ
「Prince on Prince: Interviews and Encounters」の和訳本です。デビューから逝去の数か月前までのインタビューを時系列で取り上げています。純粋なインタビューだけでなく、雑誌やウェブに掲載された体裁のまま記者の所感などもあるので読み応えあり。とにかくボリュームと行間の情報量が半端では無いので、私は読むのにものすごく時間がかかりました。個人的には初期インタビューが好きで、傷心からエホバに傾倒していく過程は辛くなりました。「プリンス FOREVER IN MY LIFE」「ザ・モスト・ビューティフル」とセットで読むと全体像が垣間見えるのかもしれません。
2023年発行 リットーミュージック ISBN-13 :978-4845638956
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