The Beautiful Experience / ザ・ビューティフル・エクスペリエンス
元々はTVで放映されたプリンスのプログラムの一つです。日本ではWOWOWが「The Sacrifice Of Victor」と同時に独占放送しました。後にNPG Music Clubで製品版もリリースされましたが、TVを録画しただけじゃないかと思うほど画質が悪い上、パッケージも手作り感溢れるものだったそうです(私はその噂を聞いて購入するのを止めました)。
ペイズリーパーク・スタジオでのライブと、MV、それに寸劇が合成された構成になっています。黄金時代のキラッキラプリンスはエグ格好良いです。ストーリーは相変わらずですが、まぁ、許容できる範囲でしょうか。プリンスが演技してないから良かったのかも?
- Introduction
- Interactive (live)
- Days Of Wild (live)
- Come
- Race
- Acknowledge Me
- Pheromone
- The Jam (live)
- Shhh (live)
- Loose
- Papa
- The Most Beautiful Girl In The World
- Now (live)
- Ending
あらすじ(ネタバレしてもOK)
ジェーン(ノナ・ゲイ)はピーナツバタークッキー大好きな孤独系女子。出会いが無いのはなぜかしら~とか言いながら「あなたも世界一の美女になれるかも?」という雑誌の広告を見て、1-800-NEW FUNK に電話をかけながらインターネット(当時最先端)に接続します。
何故かキーボードにある「COME」ボタンを押すと無事にアクセス。機械的なオペレーターが現れて「夜明けへようこそ」などと述べながらすかさず「Interactive」の演奏を紹介します。もちろんジェーンは大喜び!
しかし、1曲であっさり終わってしまいます。「やっぱり土曜日の夜なんて嫌いよ!」とジェーンが心の中でブーたれていると、オペレーターが突如現れて次の曲が紹介されます。超ファンキーで恰好良い「Days Of Wild」です。その映像を見たジェーンは驚きます。なんと、着飾ったジェーン自身がスクリーンの中(というかライブ会場)に登場するのです。
曲が終わると同時にジェーンはパソコンのコンセント抜き、慌てふためきます。友達に電話しますが「現在使われていません」のメッセージ。
自分が死んでコンピューターの中に取り込まれたと思いこんだジェーン(どんだけ想像力豊かなんでしょう)は悪態を付いたことを神様に謝り、再びパソコンの電源を入れます。そして、死ぬ前に…とばかりに何故かポエムをしたため始めます。
そうこうしていると「Come」が流れます。アルバム収録とは異なる、通称「早いやつ」です。怪しげな儀式みたいな映像とファッション・ショーの映像が交互に流れます。頭がおかしくなりそうになり、曲を聴くまいと抗うジェーン。しかし、曲の終盤には「Come」と、曲に合わせて一緒に呟いています。恐るべし洗脳曲。
さっきまで散々怖がっていたのに曲が終わると急に強気になり、「あんた何がしたいの?ていうか誰?」とメールで文句をつけます。「ミネアポリスは空気が薄いし、日光不足があんたをおかしくさせてるのかもね」となぜかさり気なくミネアポリスをディスったりして。(ていうか特定完了してませんか?)
時代を感じるインターフェイス
メールを送ると、回答とばかりに「Race」のMVが流れます。まったく回答になっていませんが。最初は戸惑うジェーンですが、次第にノッてきて笑顔になります。プリンスがマイテにいたずらされるシーンでは思わず吹き出します。良かった良かった(?)
この曲は結構気に入ったようで「他にもないの?」と調子に乗ってリクエスト。希望通りの大人っぽいブルース・インストゥルメントが流れるので気分良く聴くのも束の間、急にブチッと切れて「Acknowledge Me」のMVが流れます。
こちらはお気に召さなかったようで「付き合ってられない、こんなのは全然ビューティフルなエクスペリエンスじゃないし。このろくでなし!」と、そこまで言わんでもええのに…というレベルのクレームメールを送信。それに対して流れたのは「Pheromone」のMV。
こちらは割と気に入った模様。もう何がツボなのかよく分かりませんが、体をクネらせてノるジェーン。ピザでも頼みながら楽しもうかしらと電話注文。宅配の兄ちゃんが来たのでバラの花を持って出会いを期待しますが、兄ちゃん(というかおっさん)は「ヘイ何のビデオ見てるんだい?」とジェーンには興味を示さず。こいつあかんと思ったジェーンはお金を払って早々に追い払います。
ここでラリー・グラハム&GCSの「The Jam」が良い感じで演奏され、そのまま「Shhh」になだれ込みます。
メロウでスイートな雰囲気になり、ジェーンは急にメロメロになってしまいます。うっとりとプリンスに見とれて"I love you."なんて呟いたり、独りで喘ぐという末期症状。つい30分前までミネアポリスをディスっていた人と同一人物とは思えません。
しかし残酷にも、演奏の後にプリンスはマイテと公開スケベ行為に及びます。それを見て涙ぐむジェーン(何を期待してたんだ)。
ここでなんの脈絡も無さそうな2曲が流れます。いや、格好いいんですけども。
「Papa」の重たいテーマが辛かったのか、映像の中のジェーンも顔をしかめて会場から出ていきます。はい、意味はよく分かりません。曲が終わったあと、スクリーンには「君が誰だか知ってる」というメッセージ。 チッと舌打ちする勢いのジェーン。ていうか「ファッ〇ユー」って言っちゃってますが。
「ビューティフル・エクスペリエンスって、一体何なの?」とメールを送るジェーン。すると画面が暗転。これが答えですよー、とばかりに「The Most Beautiful Girl In The World」が流れます。
The Most Beautiful Girl In The World
このMVの中では色んなタイプの「美しい」女性達が登場するのですが、なんとその中に大統領になったジェーンの姿が!見終わって恍惚とするジェーン。「これは私の未来なの?」とメールで質問します。間もなく届いた返信には"...COME"(せやで)の一言が。
もうジェーンはピーナッツバタークッキー食べまくっている引きこもり女子ではありません。世界で一番美しい女性になったのです。そっとパンフレットにこんなことしたりして。
これで終わりかと思いきや。
唐突に、
NOWエクスペリエンスに接続したことを告げるオペレーター。「Irresistible Bitch」「Housequake」「Sexy MF」のような、ダンス/自尊心増強にふさわしい曲として紹介されたのは「Now」です!みんなで跳びはねてシャウトしまくり。もう画像がブレるぐらいアガりまくってます。因みに下の写真、分かりづらいですがトミーの股の下にプリンスがいますw
自尊心増強の看板に偽り無し。ジェーンは自信たっぷりにダイナマイトボディーを視聴者に見せつけながら着飾り、パソコン付けっぱなしにして外へ繰り出します。
放置されたスクリーンには「ようこそ夜明けへ」のメッセージが出ており、色々流れ続けます。これがエンドクレジットになるんですが、途中から「Orgasm」(喘ぎ声のやつ)が始まるので閲覧される際はご注意を…。
みどころ
まず冒頭の「Interactive」。曲の恰好良さもさることながら、シルクハットにバラをあしらった殿下の歌う姿に、当時高校生だった私は心を撃ち抜かれました。この耽美さ加減はヤバ過ぎます。
「Days Of Wild」のライブも恰好良いんですが、合間に挿入されるドライブシーンも見どころ。チュッパチャップス咥えながら不敵に運転したり、ギターを弾いたり。あーもう格好良過ぎる。
見どころというか余談ですが、同曲のライブ中にMr.ヘイズは髪の毛を刈られます。すごい中途半端なところで放置されるのがまた何とも。
「Now」のアゲアゲライブは最高です。乾杯しようぜとマグカップを掲げ、それを飲み干してシャウトするくだりなんかは特にツボです。何飲んでるのか超気になります。
まとめると「相変わらず良く分からないストーリーだけど演奏内容は文句無し」というところでしょうか。