Around The World In A Day / アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ
プリンスと極彩色の世界にトリップ
- Around The World In A Day
父親との共作。イントロの叫びが印象的ですね。プリンスの曲はイントロで腰砕けの声が沢山収録されていますが、これはベスト5に入るインパクトです。オリエンタルで不思議な雰囲気が、結構好みだったりします。アルバムジャケットで既に予感を漂わせて、一曲目でガツンと前作のイメージを完全に覆してしまうのが凄いです。ちなみに当時、このアルバムは"Purple Rain"と同時に作ったと喧伝されていました(実際は"Purple Rain"の録音が完了した後にレコーディングされたそうですが)。
- Paisley Park
こちらも一曲目同様、サイケデリックというか、不思議な曲調です。この曲の直系として、アルバム"Parade"の不思議な空気感があるような気がしないでもないです。後に自らのレーベルを同曲名と銘打つくらいだから、思い入れがあるんでしょうか。皆の心にあるというペイズリー公園。タイトル曲同様、暗喩に満ちている曲です。
- Condition Of The Heart
構成が仰々しいですが、曲自体は非常に美しいです。インストでもかなり綺麗な曲になると思います。ファルセットバラードの1,2位を争う曲ですね。非常に地味なんですけど、名曲だと思います。精神性の高い感動的曲です。
- Raspberry Beret
ガラガラ声で歌う殿下が新鮮。殿下版「みんなの歌」といった感じでしょうか。明るくてポップな曲です。MVもキュートなんですが、青ひげと衣装、振り付けが強烈(笑)狙ってやってるのか、単純に好きなのか…。とにかく「プリティ」という表現に尽きます。でも、この曲があるから、殿下の評価が揺るぎないものになったのかもしれません(多様性という面において)。実はこの曲、"USA for Africa"に提供を申し出たらしいですが、収録は実現しませんでした。確かに、性的な曲でもあるので、あのアルバムには似つかわしくないですよね。
- Tamborine
トイレに行きたいのを我慢してるような性急なリズム。それに乗っかるのは、温度差のあるクールなボーカル。時々感極まって狂ってるようなファルセット。嬉しくて仕方なくて、1人でジタバタしてる時のイメージでしょうか。相変わらず後半は熱暴走してます。
あ、これ全部褒めております。この曲の持つアバンギャルドさを文章で表現しようとすると、こうなりました。誤解無きよう(笑)個人的にとても好きな曲です。
- America
非常に耳馴染みのよいキャッチーなフレーズ。プリンスにしては異色の曲調だと思います。題材がアメリカなので白けるかと思いきや、割と皮肉ってます。「PEACE!」とかの掛け合いは最高なので、プリパでは押さえておきましょう。アルバム・バージョンはフェイド・アウトで終わりますが、これの12'は凄いらしいです(長さが)
- Pop Life
この曲の歌詞は本当に素晴らしいです。メロディも非常に綺麗。諭すような穏やかさが、かえって感動的です。ジュディマリのユキさんがプリンスの大ファンで、この曲を自バンドのアルバムタイトルに引用したのは有名。あえてストレートな作りじゃなくて違和感があるような曲調が効果的ですね。「ポップに生きなきゃ人生ファンキーにならないよ、分かった?」とか言われても「ポップ?」「ファンキー?」と日本人にはピンとこない気がしますが、ここはフィーリングで!
- The Ladder
実父との共作。仰々しい作りです。このアルバムのメインテーマなんでしょう。耳に残るメロディが印象的。もう少しシンプルにやってくれたら大好きなんですが。個人的にはライブで弾き語ってくれるようなシンプルな演奏が良いですね。
- Temptation
曲の最後では、プリンス自身の悔悟が披露されます。前曲と同じく、とにかく仰々しい作り。「やりすぎ」はプリンスの良いところなんですが、これは個人的にトゥーマッチ。この時期のライブでも、自己悦に浸りすぎるところがあって若干退屈なんですが、そういう点が共通しますね。プリンスの曲で、完全に嫌いな曲は殆ど無いんですが、これはその数少ない1つです。ただ、後半のプリンスの1人芝居は嫌いじゃありません。