レビュー:プリンス作品 2010-2015
2010年の幕開けは20Tenで始まりました。全盛期への原点回帰のようでもあり、まったく新しい試みだったり。純粋に音楽を楽しむといった体で、円熟期という言葉がこれほどぴったりくることはそうありません。この後に繰り広げられたであろう新しい音世界はどのようなものだったのでしょう。
20Ten
"Planet Earth"の方程式に乗っ取り欧州各紙に無料添付され、話題を集めたアルバム。タイトルはズバリ、2010年の名前を冠しています。近年の傾向である軽妙なノリと同時に原点回帰を匂わせる節も。それもその筈、殿下が今作を評して曰く「ニューウェイブ的なストロング・ファンク」とのことです。それって要は初期のプリンスということだったり。確かに時々アウトテイクを聴いている錯覚に陥ります。勿論、単なる焼き直しではなく新たなニュアンスも含まれていますが。好き嫌いは分かれそう。 ⇒詳細
NPG Record 2010
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The Breakfast Experience
結果的に"Art Official Age"の先行シングルとなった"Breakfast Can Wait"のリミックスEP。ジャケットは有名な Chappelle's Show からの引用でプリンス本人ではありません。MVでも女性ダンサーがプリンスに扮していたので、そういう趣向なのでしょう。バスケの試合のあと、プリンスがパンケーキをご馳走してくれたという逸話からインスピレーション?を受けています。 ⇒詳細
NPG Record 2013
Art Official Age
ワーナーと和解&再契約という衝撃的なニュースを引っさげ、4年ぶりという、プリンスとしては長いインターバル後に発表されたアルバム。しかも、下記の"Prectrumelectrum"と同時リリースされました。プリンス印の音は健在です。プロデュースにジョシュア・ウェルトンを迎えているせいか、ここ数作の作風ともまた違った、涼やかな新境地も垣間見れます。プラスティックかと思いきや人膚だったり、部屋の外だと思ったら地下室だったり。聴くほどに味わい深く。 ⇒詳細
Warner Bros. 2014
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Prectrumelectrum
上記作品と同時にリリースされたアルバムで、こちらはプリンス単独ではなくPrince & 3rd Eye Girl名義となっています。収録曲もプリンス以外のボーカルやインストが多く、 名ばかりのバンド名では無く、ちゃんと3rd Eye Girlです。ライブ感に拘って作成されており、"Art Official Age"の人工的・密室的な感触と対照的です。"Funknroll"が両アルバムに収録されていますが、そのアレンジの違いが特に象徴的です。 ⇒詳細
Warner Bros. 2014
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Hitnrun Phase One
前作同様、ジョシュア・ウェルトンとの共同プロデュースによるアルバム。EDM等のコンテンポラリーなサウンドへのアプローチや、若手女性アーティストのフィーチャーが目立つため、プリンスの本流アルバムとしては異質。各曲が短く40分程度でコンパクトにまとまっており、プリンスが息抜きに作ったサブ・プロジェクトのような趣。前作をデフォルメしたようなジャケット・デザインは何かのメタファー? ⇒詳細
NPG Records 2015
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Hitnrun Phase Two
タイトルの通り"Hitnrun"シリーズの続編という位置付け。驚くべきことに前作から3か月後にリリースされました。前作はジョシュアの影響が大きく遊び心がありましたが、今作は対極を成すかのように円熟を感じさせる、オールドスクールな安定感が特長です。収録曲のうち半分が既にリリースされていたものなのに、アルバムを通した統一感があります。今後シリーズが続いていくとしたら、それぞれテーマが設けられそうな予感でしたが、このアルバムが事実中のラスト・アルバムとなってしまいました…。今後の流れが楽しみだっただけに非常に悔やまれます。 ⇒詳細
NPG Records 2015
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