レビュー:プリンス作品 1978-1989
「どの時代のプリンスがベストか?」という問いに対する答えは百人百様で然るべきです。が、あえてプリンスの「黄金時代」を定義するとすれば、やはりこの時代になるというのが、大多数のプリンスファンに共通するコンセンサスかと思います。野心的でエネルギッシュな初期の作品群から、次第にボルテージが上がっていく過程は非常にスリリング。
For You
若干二十歳そこらの プリンスが放った、セルフプロデュースのデビューアルバム。デビューということで気合を入れ過ぎてしまい、かなりの予算オーバーになったらしいです。それだけに丁寧に作られて いて安心して聴ける作品。ストレートなメロディ重視の曲が多く、遡ってこれを聴いた時はかえって新鮮な印象が。所謂プリンス特有のクセが少ないので、プリンスを好きでない人にも、お奨めできそう。純粋に良質なアルバムだと思います。 ⇒詳細
Warner Bros. 1978
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Prince(愛のペガサス)
邦題が問題アリな上にジャケットが濃いですね。見た目のインパクトの割に、内容はとても上品に仕上がってます。ファルセットが冴え渡る爽やかな殿下です。私が分析するに「初期プリンスオカマ路線」の代表作です。前作の負債を取り戻す為に売れ筋を意識して作られたそうですが(狙ってできるところが凄い)キャッチーな曲が目白押しで、メロウなファルセットと相まって最高の効果を出すことに成功しています。デビュー作と同様、いわゆる 王道的な音作りだと思います。 ⇒詳細
Warner Bros. 1979
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Dirty Mind
当サイト名は、このアルバムから拝借しました。前作まではどちらかというと洗練された感じですが、今作で急に荒削りに変化。音数が少ない分、リズム感が以前より強調されてる気がします。当時のプリンス曰く「これはデモテープ」。発売を意図して作成したものではなかったそうです。そして、これを引っさげて歌う本人はレッグウオーマーにビキニパンツ、そしてコートを羽織るというファッション。歌詞も放送できないような過激な歌詞。変態度に磨きがかかっていきます。 ⇒詳細
Warner Bros. 1980
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Controversy(戦慄の貴公子)
「戦慄の貴公子」って…。これもジャケットからインスピレーションを得て誰かが勝手に付けた名前なんでしょうけど。まぁ、数ある邦題の中でも出来は良いと思います。時代を感じるシンセが時々煩く感じられる時がありますが、今聴いてもかなり格好いいです。歌詞の内容に社会的な要素を取り入れたりしています。また、この作品で初めて殿下の地声が多用されています。今までの作品は殆どファルセットで歌われていましたが、今作から段々と歌い方に幅が出てきます。 ⇒詳細
Warner Bros. 1981
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1999
プリンスの代表作の1つに数えられる作品。レコード版は2枚組み という大作。CD盤は時間の関係上一枚に纏められ、長年”D.M.S.R”が削除されたままという憂き目に遭いました(1999年を記念して完全版がリリースされました )MTVでブレーク・スルーを為し得、殿下をスターダムに押し上げた作品。ちょうどこの頃、マイケル・ジャクソンら若手の黒人アーティストもクロスオーバーを実現して、新しい時代の幕開けとなります。今聴くと多少音がショボいけど、中身は非常にポップな楽曲が揃っていてやっぱり凄い。 ⇒詳細
Warner Bros. 1982
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Purple Rain
同名映画のサントラ版。殿下のインターバルは殆ど1年ですが、この作品だけ前作から2年後の発表です。内容は文句のつけようが無いです。幾分ロックの要素が強くなっているようで、キャッチーな曲が目白押し。シングル曲もチャートを賑わせました(全米1位2曲含む)映画を見れば分かる歌詞の内容も注目したいところ。プリンスの代表作は何だかんだいってもコレです。今作で世界的名声を獲得してます。結構、ファンの間では軽視されがちなアルバムなんですが。 ⇒詳細
Warner Bros. 1984
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Around The World In A Day
ヒット作の後にこれを出してしまうのは流石。完全に彼岸に渡った模様が楽しめます。プリンスのことを愛してないとこの作品も愛せないような気がします。多少自己悦に入ってる気が否めませんが、より高踏な場所から作られたという感じです。本人の言によると、大ヒットした前作と似たような作品は絶対に作りたくなかったそうです。その目論見は成功しました。恐らく、凡百のアーティストのように大ヒットしてから守りに入っていたら、今日のプリンスの名声は今ほどでは無かったでしょうね。神憑り的に名作をリリースしていく怒涛の快進撃の始まりです。 ⇒詳細
Warner Bros. 1985
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Parade
全編モノクロの映画”Under The Cherry Moon"のサントラ。プリンス全作品の中でも、かなり異色の肌触りを持つアルバムだと思います。個人的には理解するまでに、かなりの時間を要しましたが、これは凄い作品です。ファンの間では最高傑作とされることが多いアルバム。でも何故か、本人はこのアルバムを”Kiss”以外は失敗だったと 公言しています。その本意は分かりませんが、大量に作品をレコーディングし、幾つものプロジェクトをボツにしていた頃ですからね。 ⇒詳細
Warner Bros. 1986
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Sign O' The Times
プリンスの代表作に挙げられることの多い名作。上で述べていますが、幾つものプロジェクトがボツになり、最終形態として2枚組で今作がリリースされました。言葉は悪いですが、色んなマテリアルの寄せ集めなので、恐ろしくバラエティに富んだ内容です。これは何度も繰り返して聞くことにより、更に味わい深くなる殿下の真骨頂的な作品ではないでしょうか?音的に派手さは皆無。とっつきは悪いです。が、その音のどれもが必然性を持って完璧に演奏されています。私は、何百回と聴いてますが、毎回聴く度に惚れ直してしまいます。 ⇒詳細
Warner Bros. 1987
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Lovesexy
発売寸前だった「Black Album」を急遽中止、代替としてリリースされたアルバムです。CD盤は曲のスキップを排除しています。全裸ジャケット と同様、商業的リスクを問題外とする姿勢は、ある意味プリンスの作品で最もアーティスティックでしょう。知らない人が見ると変態みたいですが、歌詞の内容はむしろ神聖です。プリンス本人、過去インタビューで、この作品をゴスペルと称したことがあります。ジャケット・ワークから内容から、全てにおいて完璧。個人的には一番好きなアルバム。 ⇒詳細
Warner Bros. 1988
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Batman
映画、「バットマン」のサントラ。と、いうよりは映画に触発されて作ったトリビュート的な作品。コンテンポラリーな音で構成されています。映画の未曾有の大ヒットと同様、このアルバムも大ヒット。前作での商業的負債を取り戻したと言われています。前作までの流れが完全に途切れているような印象を受けますが。まぁ、プリンスの作品は一枚ごとに変化をしているので、あえてコレだけを取り上げることはないかもしれません けどね。ポップさでは白眉。 ⇒詳細
Warner Bros. 1989
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The Scandalous Sex Suite
リミックス含むミニ・アルバム。この形式ではこれが最初でしょうか?シングルにリミックス版を入れるのが常套手段になった時代を反映しています。もともとプリンスの12インチなんかは、別バージョンの宝庫なんですが。"BAT MAN"からの曲は勿論、未発表曲も含まれています。"FEEL U UP"なんかも、何故かここでお目見えしています。 ⇒詳細
Warner Bros. 1989
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