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1999

1999

全米に火を付けたロングランアルバム
デラックス版「1999」の解説はこちら

 

  1. 1999
    冷戦当時を反映して、奇妙な焦燥感と刹那主義的な逃避が絶妙に混ざった名曲。「心配しないで」と言う割に、非常に心配になるイントロに、一度聴いたら忘れられないシンセ・リフが続きます。今聴けば安っぽいかもしれないけど、煌いたシンセ音が光っています。段々と期待が高まるリレー・ボーカル も非常に格好良い。もちろんプリンスはトリで渋くまとめます。この人の、こういうパターンは特に強力ですね。はっきりと、独特の鼻にかかった地声で歌っているプリンスは新境地。歌詞もプリンスの存在感を知らしめるに十分なインパクトを持っています。「これを書いた時は夢の中だったんだ。だから、もしぶっとんでたら許して」 ラストの「ママ、どうして皆爆弾持ってるの?」も印象的。1999年には新録でリリースもされましたが、この頃のプリンスが持つ怪しさが薄れていたような気がします。

  2. Little Red Corvette
    哀愁漂うイントロは、永遠に聴きつづけたくなるくらいドラマティックですね。非常に甘いメロディに聴きやすい演奏。80年代の美味しいところを凝縮したような曲でしょうか。実際、ブレイクスルーの突破口を開いた重要な曲であり、紛れも無くプリンスの代表曲の一つです。1999のケツと繋がっているので、自分でベストを作ろうとした時に不便。

  3. Delirious
    エディ・マーフィーがTV番組「サタデー・ナイト・ライブ」で披露したコメディ・ライブのコンピレーションビデオのタイトルでもあります(Kassieさん情報提供ありがとうございます)。それだけ彼はこの曲がお気に入りだったとか(Purple Rainのライナーにも書いてますね)。安っぽいシンセが何だか滑稽で印象に残ります。中身は典型的なロックというかロカビリーなんですが、変わった手法のアプローチは流石。歌詞は「お前、クラクラきちゃうぜ」ていう感じなんでしょうか。お茶目な感じでいいです。

  4. Let's Pretend We're Married
    ポップな佳作といった感じですね。でも、ちょっと長すぎるかも。邦題は「夜のプリテンダー」。うーん…プリテンダーって何?って感じですね。どうせなら「夫婦ごっこ」とかいう邦題の方が諦めがつくかなと思ったら、実は初期の邦題は「夫婦のように」でした(関連リンク)。この曲のMVがあることを知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、実はコッソリ作成されています。ただ、殆ど出回っていないため、凄くレアです。たまに見かけても画質悪いのです。

  5. D.M.S.R
    Dirty Mind以来のフレーバーを昇華させたような感じでファンキーです。CD化の際に、何故この曲を外したのか理解に苦しみます。これが外れると、アルバム全体のバランスが変わってきます。何となく原始的で、コール&レスポンスが特徴的なナンバー。ライブに向けて、レスポンス部分は習熟しておきましょうね。ダンス・ミュージック・セックス・ロマンス。この4つの要素は、正にこの時期のプリンスの全てという感じがします。

  6. Automatic
    "A・U・T・Omatic"というフレーズは言葉遊びが好きなプリンスらしくて微笑ましいです。良い曲なんですが、個人的には後半が多少冗長になっているような感じが否めません。ライブとかで、この曲のフレーズがチラッとかかるとハッとさせられます。SMごっこを延々と繰り広げるMVも印象的で、同MVにおける殿下の怪しさは全クリップ中でもトップクラス。プレイボーイチャンネルで放送されるだけあります。今となっては、ヒッキーの曲の方が有名になっちゃいましたが、勿論別モノです。

  7. Something In The Water (Does Not Compute)
    切羽詰まったような伴奏に合わせて切々と歌われる寂しい歌詞。プリンスの女々しさが発揮されていて、とても素晴らしい。ひきこもり一歩手前のような歌詞も、プリンスのナイーブさと作曲能力があるから昇華されるんですね。これが単なる独り言なら、ヤバい人になっちゃいます。「水道に何かが混ざっている」という被害妄想を抱えた神経質な人間の歌。文字にするとエゲつないけど、、それがこんなに美しいのです。

  8. Free
    ストレートなファルセット・バラード。オーソドックスな作りで安心して聞けますね。非常に感動的なナンバーです。 ただ、同じ系統の曲の中では、比較的印象が弱いような気がします。因みに「自由」は今後、彼が求め続けていくテーマでもあります(Slaveと頬に書くに到るまで、、、)。

  9. Lady Cab Driver
    「タクシーの運転手のおねぇさん」このアルバム中の他の多くの曲と同じく淡々としているんですが、中でも特にこれは淡々としているのが功を奏している気がします。非常に格好いい名曲です。後半は熱暴走するので人前で聴くときは注意してください。喘ぎ声を初め、行為の最中を連想させる声が色々入っていて発禁モノなんですが、英語が分からなくて良かったということで…。7曲目と同様、クールな肌触りなんだけど、中身は火傷しそうに熱いです。勝手にドライアイス・ナンバーと命名します。

  10. All The Critics Love U In New York
    ひたすら単調な繰り返しですね。もっといじればファンキーになったと思うんですが。個人的には、このアルバムで唯一、重要度が低目の曲です。悪くは無いんですが。ただ、2002年以降のライブでは、この曲をもじって公演先の土地の名前を歌ったりしています。ライブで聴くと楽しいのです。

  11. International Lover
    殿下お得意の、ファルセット粘着質バラードです。自己悦に入っていて仰々しいんですが、ギリギリのラインで聴かせます。プリンスのナレーションとかしつこさは随一なので、プリンス嫌いな人には耐えられないでしょうね(笑)"Do Me Baby "を経てこの作品以降、プリンスのやり過ぎバラードの王道スタイルが確定したような気がします。それにしても、何という曲名ですか…。

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