001:プリンスを好きな理由
「なんでプリンス?」
プリンスファンをやっていると、この質問を受けることは、1度や2度ではない筈です。正直、「またか」とウンザリしつつ、適当に答えたりします。
この難題を問われたことの無いプリンスファンを探すことは、「なにわのモーツアルト」ことキダタロー大先生の前髪の生え際を特定すること以上に難しいと言わざるを得ません。
それほど、プリンスを好きであるということは、プリンスのことを何とも思っていない人間にとっては理解し難いことなのだと思います。詮無いこととは分かっていますが、今回は敢えてこの問いに正面から向かってみたいと思います。
さて、私は今までこの問いに対する答えを幾人かの人々から聞いてきました。その答えは大体、以下のようなヴァリエーションを持つことが判明しました(大袈裟)。
- 他の人と違うから
- 噛めば噛むほど味が出るから
- 珍味のようだから(クセがあるけど止められない)
うーん。陳腐です。
陳腐極まりないのです。
要点を押さえていながら、何一つ本質を捉えてはいない気がするのは何故でしょう?語りつくされた言葉だからでしょうか?
実は、これらの説明は一見、プリンスを好きな理由を述べているように見えて、説明している相手にもプリンスのことを理解してもらいたいという魂胆が見え隠れするのです。
何という不毛。
勿論、この手の説明というのは総じてそういうものです。所詮は好き嫌いの問題です。例え「この料理は歯ごたえがあって、刺激的で…」と説明しても、その料理を食べたことのある相手にとっては余計なことにしか聞こえません。好き嫌いは自分自身の感覚で判断するものだからです。
決して理解を求めてはいけません。
音楽の理解は音楽を聴く過程の中でしか生まれません。
極論ですが、私はそう思います。
よって、「なんでプリンス?」と聞かれたら。
「4月に雪が降ることだってあるから」とか、「EVOLSIDOGだから」とか、意味不明なことを答えてればいいんです。益々変わり者と見なされることは間違いないでしょうが…
最後にニーチェの言葉を引用して締めくくりとさせてもらいます。
「 この世に事実は存在しない。存在するのは解釈だけである。」
2005/11/01