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022:プリンスとマドンナ

マドンナプリンスとマイケル・ジャクソンについては、かなり前にコラムに書きました。今回は満を持して?マドンナとプリンスの関係について書きたいと思います。いわゆる、80年代の三大スーパースターと称された3人のうち、この世にいる最後の一人となってしまったマドンナ。この3人の共通点は、全員が1958年生まれの「同級生」であり、類まれなるカリスマ性を持ち、その表現方法がカルチャーにまで影響を与えたということでしょうか。

スターを目指して裸一貫でニューヨークに出てきたマドンナがタクシーに乗ったときに「世界の中心まで」と言ったことは有名です。真偽のほどはさておき、彼女の性格を表す良いエピソードだと思います。ステレオタイプの女性性を売り物にせず、持ち前の気性で成功を自ら掴み取ったマドンナ。正直なところ、音楽的な才能については他の二人に比肩できませんが、彼女の強みは自身の客観視とプロデュース力、そして時代の鼻先を捉えるセンスの鋭さです。例えばプリンスが職人だとすると、マドンナはプロデューサー。他の二人がキャリア中に浮沈を経験している中、比較的安定していたマドンナは恐らくバランス感覚やコマーシャリズムでは頭一つ出ていたのではないでしょうか。

Like A Prayer

そんなマドンナがプリンスと付き合っていたことも割と有名な話。プリンスはマドンナに"Love Song"という曲を提供してデュエットもしています。提供曲はキャッチーなものが多いですが、この曲は正真正銘プリンス印の変態ソング(褒め言葉)。クリームソーダ―とコーヒーを混ぜたらどうなるか、その答えはコレだ!みたいな曲で個人的には好きです。若干、マドンナが持て余しているような気もしますが…。プリンスとマドンナというカップルはプレス向けには最高のネタでしたが、我が道を行くタイプのマドンナが人一倍繊細で変わり者のプリンスと長続きする訳もなく、あっという間に破局。マドンナはプリンスの食の細さや繊細さをディスったこともあったようです。「何ぞこのビッチが!」とプリンスファンは憤るところですが、まぁマドンナですから許されるのです。

その後、プリンスはワーナーと喧嘩別れして独立。頬にSlaveとペイントするなど、アーティストの権利を訴え続けます。ちょうどその頃、プリンスは古巣ワーナーに在籍しているマドンナに対して書簡を送りました。マスターテープ所有はアーティストの権利なので、影響力のあるマドンナからもワーナーに訴えてほしいといった趣旨です。しかし、これに対してマドンナからの返信はなかったようです。当時のプリンスは改名してインディーズからゲリラ的に音源をリリースしており、世間的には嘲笑されていました(後年彼のやっていたことの意義は見直されましたが)。そんなポジションの人間と関わって得は無いと判断したのかもしれません。穿った見方かもしれませんが、この件をきっかけに私はマドンナのことが一時期嫌いになりました(←心が狭い)。

しかしプリンスも黙っていません。同じく改名時代、VH1 Video Breakでプリンスの特番がありました。その内容が凄かったです。ペイズリーパークでテレビを見ていたプリンスが、放送されたマドンナのMVを苦虫を潰したような顔で見るシーンから始まります。そして番組をジャックし、マドンナのMVを途中で遮って自分のバンドの曲を流すという演出…。延々とNPGの曲を流すんですがマイテが誤ってコードに足を引っ掛けることで番組がコントロールを取り戻すというオチ。そこで改めてマドンナのMVが流されるんですが、それを見たプリンスがまたまた「はぁ?」というリアクション。再度遮ってプリンスのドアップで締めくくり。えげつないほど喧嘩売ってます。

VH1 VH1

このように険悪に見えていた二人ですが、2011年のマジソン・スクエア・ガーデンで開催されたプリンスのライブにはマドンナが招待されており、プリンスはライブ中にマドンナについて言及しました。「マドンナのチケットは高いよね。僕のもだけど」と笑いを取ったあと、会場にいるマドンナに謝意を表明したことが当時ニュースとなっていました。この一件をもって二人は和解していたと解釈されることがありますが、個人的にはお互いディスりながらも、ある程度の信頼感は持ち続けていたんじゃないかなと想像しています。なにしろ元恋人、複雑です。

 

そして2016年の4月。
プリンスが逝去した際、いちはやくマドンナから追悼のメッセージがありました。フォトショップで加工された写真という説もありますが、2ショット写真には胸を打たれます…。

そしてビルボード・ミュージック・アワードでは、プリンス追悼としてマドンナがパフォーマンス。"Nothing Compares 2 U"と、スティービー・ワンダーとのデュエットで"Purple Rain"を熱唱。しかし、これがちょっとした炎上騒ぎに発展。そもそもマドンナがピンでトリビュートするという人選がおかしいという非難から始まり、パフォーマンスの力量不足やリスペクトを感じさせない演出が批判の的となりました。同パフォーマンスを見たときは、私も正直失望しましたが、今ではアリだとも思っています。プリンスが黒人だから白人のトリビュートがおかしいというのはあまりにも視野狭窄的ですし、マドンナがどのように感じてトリビュートしたのかは本人にしか分からないことですので。一時代を気付いたスター同士、我々には計り知れないシンパシーがあると思うのです。素直に彼女なりの追悼に敬意を表したいです。マドンナ、ありがとう。

以下はトリビュートの際にバックスクリーンに映されたプリンスの写真。これはこれでプリンスらしいんですが、個人的には他にもっと良いのあったと思うんですけどね(笑)

マドンナ

2017/9/18

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